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「地主 敏樹」の検索結果

  • CAO THI KHANH NGUYET

    国際経済統合とベトナムの銀行部門:健全なシステムへの道

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方

    RESEARCH LEADER : 
    CAO THI KHANH NGUYET

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究員 CAO Thi Khanh NGUYET

     

    研究目的

    経済改革と国際経済への統合はベトナムの銀行部門に市場の多様化、国内銀行の効率性向上、経営ノウハウの習得、法制度の整備等、様々なメリットをもたらしている。例えば、外資保有の国内銀行では、重要なポストを海外の専門家が担当することがあり、国内銀行に外資銀行のノウハウが数多く移転されている。また、近代的な技術のベトナムへの普及という点でも、ベトナム経済に外資銀行が果たした役割は大きいだろう。しかし一方で、資本と経験の豊富な外資系銀行は、国内銀行に激しい競争を強いるという点も重要である。その結果、2006年~2013年において、外資系銀行が31行から53行まで増加したのに対し、ベトナム商業銀行は37行から33行に減少してきた。

    以上の背景を踏まえ、国際経済統合により、ベトナム銀行へもたらされるインパクトは議論、研究されるべきと考える。また、新時代に入り、健全な銀行システムに向かい、国内銀行は外資系銀行の資本、技術、経験を活用し、国内銀行の再編成、財政力の向上、銀行サービスの提供体制の強化が求められており、これに資する政策の提案も重要な課題である。

     

    研究内容

    文献研究及び実証分析(データ資源:ベトナム政府が公表したデータセット、金融機関の公開年間レポート等)。

    ベトナムの銀行システムの発展を評価するために、様々な資料に基づいて、設立された時から現在までの成長段階を分け、文献研究の他、各銀行のデータに基づく実証分析も行う。その他、ベトナムと同様、移行期経済を経験した中国と比較することで、共通点や相違点を明らかにする。

    統括

    林 敏彦 APIR研究統括

    研究アドバイザー

    藤原賢哉 神戸大学教授

    家森信善 神戸大学教授

    地主敏樹 神戸大学教授

    森 純一 京都大学名誉教授・ダナン大学経済大学客員教授

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果として、論文を執筆する。ホームページでの公表、学会報告、ジャーナル投稿、ベトナム語翻をベトナム国内ジャーナルに投稿することを通じて、関心のある研究者等にベトナム金融市場について理解した上で、ベトナム金融市場が健全性を向上する取り組むべき政策を議論してもらう。

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  • 岩壷 健太郎

    邦銀のアジア展開と国際競争力

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    岩壷 健太郎

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    岩壷 健太郎 神戸大学経済学研究科・経済学部教授

    研究成果概要

    近年、中堅・中小企業の積極的な東南アジア進出に対応して、地域銀行(地方銀行及び第二地方銀行)や信用金庫の海外進出が盛んになっています。その現状と課題について、東南アジア、特にタイとシンガポールを中心に調査・研究を実施しました。預金・融資業務が許されていない地域銀行はタイの地場銀行と積極的に提携していますが、現在のところ、スタンドバイ融資やクロスボーダー融資は親子ローンほど魅力的ではありません。進出企業による現地通貨建て資金需要が増える中、これらの融資をどうやって増やしていくかが課題となっています。一方、各国に支店や現地法人を開設して包括的な業務を行っているメガバンクはリテールや地場企業向けの取引拡大を目指して、東南アジアの地場銀行に対して買収・資本参加を本格化させています。GSIFI(グローバルに重要な金融機関)になるためには企業風土・企業文化・人材の面で企業を大幅に変革させていくことが不可欠になっています。詳細はこちら

    目的

    企業と同様、日本の金融機関も成長著しいアジア地域への進出が本格化しようとしている。チャイナプラスワンが進む中、昨年実施した中国地域への邦銀の海外進出に関わる調査研究に引き続き、本年度は東南アジア地域での邦銀の進出や、企業進出を支援する資金調達の実態を把握する。これにより、課題やチャンスを調査研究し、アジア地域への邦銀および日本企業の進出に資する施策として発信する。

    内容

    下記の調査・分析を行う。

    1)タイ・シンガポールでの銀行、日系企業の調査

    2)アジア地域への進出で先進する地銀(山口、中国、横浜、名古屋等)へのヒアリング

    3)その他必要に応じて、企業・政府機関などへのヒアリングや、研究会への有識者の招へい等。

    昨年の東南アジア調査で得た課題等を勘案して本年度調査を行い、より具体的な実態把握と分析を行う。

    メンバー

    砂川 伸幸  神戸大学経営学研究科・経営学部教授

    猪口 真大  京都産業大学経営学部准教授

    梶谷 懐   神戸大学経済学研究科・経済学部准教授

    地主 敏樹  神戸大学経済学研究科・経済学部教授

    唐  成   桃山学院大学経済学部教授

    播磨谷 浩三 立命館大学経営学部教授

    三重野 文晴 京都大学東南アジア研究所准教授

    期待される成果と社会還元のイメージ

    メガ銀については国際競争力の現状を明らかにするとともに、更なる競争力向上に向けた課題と提言の実施、地銀については海外展開進展のための提言を行う。企業に対しては、特に中小企業に対し、従前から日本国内において取引のある地銀の海外進出の加速が、中小企業の海外進出支援につながる事を通じての支援を想定する。 これらは邦銀および海外進出企業の海外展開戦略立案、 行政の海外進出支援策に資する。

     

  • 地主 敏樹

    日本の金融機関の構造変化とアジア経済

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    地主 敏樹

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    地主 敏樹 神戸大学教授

    研究成果概要
    海外進出が中堅・中小企業にまで浸透し、メガバンクのみならず地方銀行も対応を迫られています。その現状と課題について、今年度は最大進出先である中国を中心に調査・研究を実施しました。その結果、中国進出企業の金融面での主要な障害は対外借入を抑制する「投注差」規制などであり、それら資本規制は人民元取扱の制限と相まって、邦銀にとっても大問題であることが判明しました。進出邦銀は支店網の制約からリテール預金に頼れないので預貸比率規制に左右されますが、利鞘は規制で守られています。ただ、そのような規制は突然に変更されるので、政策方針を察知することが重要です。海外進出への制約が経営上大きな負担となる地銀は中国リスクへ敏感とならざるを得ませんが、メガバンクは規制の緩和もにらんで中国での次のビジネスを模索中です。詳細はこちら

    研究目的
    邦銀の海外再展開や地銀による進出企業への総合的サービスのありかたや効果、進出する邦銀・企業の地元関西における金融構造の変化を分析。

    研究内容
    ○中国・東南アジアなど企業進出先の現地調査(邦銀等ヒアリング)
    ○関西における調査・ヒアリング
    ○関西の金融機関のデータ収集・分析
    ○大証・東証及び顧客企業の調査・ヒアリング

    メンバー
    猪口真大 (京都産業大学)
    三重野文晴(京都大学)
    梶谷 懐 (神戸大学)
    岩壷健太郎(神戸大学)
    金京拓司 (神戸大学)
    砂川伸幸 (神戸大学)
    播磨谷浩三(立命館大学)
    唐 成 (桃山学院大学)
    劉 亜静 (神戸大学大学院生)

    期待される研究成果
    ・関経連はじめ経済界への公表、フィードバックの受入れ
    ・アカデミックな研究論文の作成

     

  • 高林 喜久生

    関西経済予測と関西経済構造分析

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » 地域発展戦略

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    高林 喜久生 関西学院大学教授

    研究成果概要
    「国際収支(=輸出-輸入)の地域版」である域際収支(=移出-移入)の分析からは、関西から関東への波及効果は大きく、その逆方向の効果は小さいことがわかりました。また、国・地域の景気指標(CI)の連動関係の分析からは、関西経済はアジア諸国・地域とのつながりが深く、リーマンショック以前は韓国、それ以降は中国からの影響を強く受けていることがわかりました。本研究の結果からも関西の景気変動の独自性は明らかで、速報性・信頼性を持つ関西景気指標(CI)の開発が求められます。分析の結果、関西景気指標は、需要、生産、所得、雇用の4指標をベースに簡便に作成できることがわかりました。また、ユニークな景気指標として、「段ボール生産」が地域の景気の一致指標として要注目です。詳細はこちら

    研究目的
    関西経済の現状分析と予測。関西活性化に資するテーマに関する構造分析の視点からの研究。関西の府県別経済構造分析ならびに関西景気指標の開発と応用。これらを通じて、関西経済の課題と対応策を明らかにする。

    研究内容
    ○マクロ計量モデル分析による日本・関西経済の現状分析と予測
    ○地域産業連関分析による関西経済の構造分析や観光消費の経済波及効果分析、独自の連関表の維持・拡張
    ○関西景気指標の開発ならびに応用
    ○アンケート・ヒアリング・現地調査による関西の実態把握
    ○マクロ経済研究会における会員企業若手スタッフとの共同作業

    メンバー
    稲田義久 (甲南大学)
    地主敏樹 (神戸大学)
    下田 充 (日本アプライドリサーチ研究所)
    入江啓彰 (近畿大学短期大学部)
    APIRマクロ経済研究会会員企業メンバー

    期待される研究成果
    ・四半期経済予測(2、5、8、11月)の発表
    ・関西エコノミックインサイト(同上)の発表
    ・関西経済に焦点を当てた景気討論会の開催

    研究成果
    11月9日に第2回マクロ経済研究会を開催しました。
    9月13日に第1回マクロ経済研究会を開催しました。
    4月24日に第1回研究会を開催しました。

     

  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2012年3月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <インフレ目標>

    円高の進行が鈍化し、ほぼ止まった模様である。アメリカ経済が回復基調であり、欧州危機も当面は鎮静化しつつあることが主因だろうが、転換の契機の一つに は、日銀による「インフレ目標採用」の報道があったと言えるだろう。アメリカの連邦準備制度がインフレ目標を導入したのを受けて、日本銀行総裁から「日銀 も実質的なインフレ目標(1%)を採用している」という発言がなされたのである。連邦準備は景気回復の中で量的緩和を継続するに当たり、インフレ期待の高 まりを抑えることを意図して、インフレ目標を導入したのだと考えられる。他方、日本銀行の意図は円高阻止だったのではないだろうか。そうだとすれば、一定 の効果があったと言えるのかもしれない。
    インフレ目標制度は、金融政策運営の世界標準である。1990年代に入る頃まで、各国の金融政策にとって最大の課題はインフレ鎮静化であった。試行錯誤の 中で、インフレ目標制度が課題解決の枠組みとして評価されるようになった。金融政策のゴールとしてインフレ率の目標水準を明示することは、景気安定化や金 融システム安定化を副次的目標に格下げすることを意味する。困難な決定であるが、当時の状況下で「二兎を追うと一兎も得られない」として、踏み切られたの である。単純化した金融政策目標を、(人気取りに傾きがちな政治の影響を排除すべく)独立性を高めた中央銀行に委託し、一定期間(2?3年)内に目標水準 のインフレ率を実現させるというのが、当時のインフレ目標制度であった。
    その後、世界的にインフレが鎮まり、インフレ目標の採用例も増えて経験が蓄積されると、インフレ目標制度にも様々な変更が加えられるようになった。大きな 流れとして、当初の厳密な枠組みがより緩やかなものへと変えられた。まず、目標を達成すべき期間が曖昧になり、景気循環を通して平均的に実現すれば良いと いう形が現れた。目標の設定方法も、目標範囲設定から目標値の設定に変更された。一見すると厳しくなったように見えるかもしれないが、反対である。範囲を 明示すればその上下限内に収まらないとアウト判定されるが、目標値の場合はピッタリに合わなくても当然なので、アウト判定は曖昧になる。当初は、目標達成 に失敗すると中央銀行のトップを交替させるというペナルティが喧伝されたが、英国などでは中銀総裁が事情を説明する手紙を書くことが繰り返されている。
    高インフレと闘うためには、物価安定の追求という側面における金融政策への信認を高める必要があった。しかし、一旦、信認を獲得してしまうと、物価安定以 外の目標への目配りも可能となってきたのである。ノーベル賞を受けたプレスコット教授(ミネソタ大)など新しい古典派が批判した「時間非整合性」問題に近 いが、短期的な自由裁量に基づく政策変更ではなく、政策枠組み(ルール)の変更として実施されつつある。勿論、こうした政策目標間のウェイト変更は微妙な ものであり、信認を喪失する危険性もある。それで、中央銀行は、自らへの信認のインディーターとして、民間主体の中期的なインフレ期待(予想)をモニター している。
    日本銀行の「実質的なインフレ目標」に対する評価は、これからの政策行動に応じて定まっていくであろう。以前の日本銀行はインフレ目標に対して拒否反応を 示し、2000年に公表した「「物価の安定」についての考え方」という文書では、具体的な数値の明示を回避した。市場は、その後の政策行動をみて、 「?1?+1%の範囲であれば、日本銀行は動かない」と考えるようになったという。暗黙の目標が0%であると解されていたことになる。景気と物価の動向が 安定して量的緩和を解除した2006年に、「「物価の安定」についての考え方」は改訂されて、「0?2%程度のインフレ率」と数値を明示し、「1%」が中 心的な値であることにも言及した。しかし、その後の運営からは「1%」の実現に積極的だという印象は与えられなかった。金融危機後の不況の中、2009年 末に「0%以下のマイナスのインフレ率は許容しない」と言明し、「1%」が中心的な値であることを再度強調した。続いて、今回の表明となったのである。こ れからの政策行動に期待したい。

    [地主敏樹 マクロ経済分析プロジェクト委員 神戸大学大学院]

    日本
    <超短期モデルは1-3月期日本経済をほぼ横ばいとみる>

    3月8日発表のGDP2次速報値によれば、10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率-0.7%と1次速報値の同-2.3%から1.6%ポイント上方 修正された。民間企業設備が1次速報値の同+7.9%から+20.7%へと大幅に修正されたことがその主要因である。この結果、2011暦年の成長率は -0.7%(前回:-0.9%)となった。
    10-12月期の成長率が上方修正されたものの、足下経済は市場の見方より弱いようである。今週(3月12日)の超短期モデル(支出サイド)は、1-3月 期の実質GDP成長率を、内需は小幅拡大するが、純輸出が同程度縮小するため同-0.1%と予測する。この結果、2011年度の実質GDP成長率は -0.4%となろう。1-3月期の経済がほぼ横ばいであるのに対して、4-6月期の実質GDP成長率は、内需は増加幅が拡大し純輸出の減少幅が縮小するた め、同+4.0%と予測する。2012年前半の超短期予測の見方に対して、マーケットコンセンサス(ESPフォーキャスト3月調査)は1-3月期実質 GDP成長率を同+2.35%、4-6月期同+2.21%とほぼ同程度の景気回復と見ている。
    このように超短期予測は1-3月期経済をマーケットコンセンサスより低く見ているがその理由は以下のようである。同期の国内需要を見れば、実質民間最終消 費支出は前期比+0.4%と堅調な伸びとなる。実質民間住宅は同-3.4%と2期連続のマイナス、実質民間企業設備は同+0.9%と小幅増にとどまる。実 質政府最終消費支出は同+0.5%、実質公的固定資本形成は同+5.8%となる。このように、公的需要は拡大するが民間需要が縮小するため、国内需要の実 質GDP成長率(前期比-0.0%)に対する寄与度は+0.2%ポイントと小幅にとどまる。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同+0.4%小幅増加し、実質輸入も同+2.2%増加する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する貢献度は-0.2%ポイントとなり、内需の拡大幅を相殺する。
    インフレについては商品価格高騰の影響が浸透し始め、GDPデフレータは、1-3月期に前期比+0.2%、4-6月期に同+0.1%となる。民間最終消費支出デフレータは、1-3月期に同+0.1%、4-6月期に同-0.1%となる。

    [稲田義久 APIR研究統括・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]

    米国
    <支出・所得サイドからのGDP予測の乖離は今後どのように収束していくか?>

    グラフにみるように、2012年1-3月期実質GDP成長率予測は、支出サイドからは前期比年率-0.22%、所得サイドからは同+2.97%と大きく乖 離している。各四半期において最初の月の実績値が更新された時に、超短期モデル予測ではこのようなことが時々生じる。すなわち、GDPの所得サイドでは堅 調に改善している労働市場を反映し、それが個人所得の増加となり、経済成長率を高くしている。一方、1月の大幅な輸入増、により、その後の輸入も時系列モ デルから高く予想されることから、GDPの支出サイドから予測される実質GDP伸び率が非常に低くなる。しかし、このような大きなGDP予測の乖離も2 月、3月の経済指標の実績値を更新することによって収束していく。おそらく次のようなことによって、その乖離が収束していくであろう。
    ・賃金・俸給が改善されていることから、個人消費支出(PCE)が上方に改定されるだろう。
    ・過去3ヶ月の財輸入の平均伸び率(前月比)は1.7%と非常に高い。このような高い伸び率が維持される可能性は少ないことから、輸入の伸び率が今後低下するだろう。
    ・最近の石油価格の上昇から、輸入価格が上昇し、実質輸入が減少するだろう。
    ・製造業が堅調に拡大していることから、製造業の在庫、それにともない卸売業、小売業在庫も増加するであろう。
    すなわち、支出サイドからの経済成長率の予測が上方に修正される形で両サイドからの実質GDPの乖離が縮小していくと思われる。輸出入、在庫の2月、3月 の時系列モデル予測にかなりの不確実性があることから、今期(1-3月期)の現状の景気判断にはGDPから在庫、純輸出を除いた最終需要をみるのがよいで あろう。今週の超短期モデルはその実質最終需要の伸び率を同+2.8%と予測している。すなわち、今の景気は2.5%?3.0%の経済成長率と考えられ る。一方、今週のインフレ率予測はほとんど2%にまで上昇している。このように、超短期モデル予測からすれば、多くの連銀エコのミストが今もってQE3を 考えているが、その必要はないと結論できる。

    [熊坂有三 ITエコノミー]

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    地域金融研究会報告書を取りまとめました。

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    地域金融研究会(主査 地主敏樹 神戸大学経済学部教授)では、地域金融研究会では、大阪中心に金融仲介機能が低 下しているのではないか、という問題意識のもと、2010年12月から約1年間にわたり合計8回の研究会を実施し、「関西圏における中小企業向けの金融」 に焦点をあてて、調査・分析を行いました。
    この報告書では、供給側と需要側、双方の問題点を検討しており、今後の関西経済の金融円滑化に役立つものと考えています。

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  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年12月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <インフレの常識はデフレの非常識>>

    日本の物価を研究してきた渡辺努東大教授は、現状を「マイルドだが頑固な」デフレーションだと性格付けている。日本の金融危機発生時には、デフ レ・スパイラルの発生が危惧された。第1次石油危機の頃に経験したようなインフレ・スパイラルと逆で、物価低下と賃金低下が相互に助長し合う状況である。 高率のデフレが発生していれば経済には破壊的であっただろうが、日本はデフレ・スパイラルには陥らなかった。財政・金融の緩和策と金融システム安定化策と が下支えしたのであろう。最近、一部量販店では、安い値段を付けている競合店のチラシをもってくると、その値段まで下げるようになっている。そうした行動 が企業間取引にも及んでいるとすれば、各企業は積極的に値下げをしないが、競合企業が下げれば対抗して値下げするという行動をとっていることになるので、 「マイルドだが頑固な」デフレをもたらす要因ではないかとして検討されている。
    他方で、内閣府のアンケート調査などによると、デフレがこれだけ続いているにも関わらず、ほとんどの人は+1%前後のインフレを予想している。その一因 として、物価指数の計算において質の変化を考慮していることが、影響しているのではないかと考えられる。販売価格が変化していなくても、性能が改善されて いれば、価格は低下したと計算されるのである。こうした質の調整はパソコンなどで顕著に効いてくる。一般の人はこうした調整を行わないから、インフレ期待 が高めになるのだというのである。金融市場参加者ならこうした調整にも対応できるかもしれない。物価連動債の利回りを見てみると、見事にマイナスのインフ レ率が予想されている。しかし、デフレ下では購入者が極めて限定的なので、市場の期待としては信用できないとも言われている。
    このようにデフレ予想が定着しているかどうかの測定は難しいのだが、デフレが日本経済に定着していることを示す現象はいくつも挙げられよう。第1は、原 油価格上昇時の物価指数の動きである。CPIは上昇したが、GDPデフレーターは低下した。確かに、輸入はGDP計算におけるマイナス項目なので、その価 格上昇はデフレーターを低下させることになる。しかし、こんなことが起きているのは日本のみである。原油価格上昇が、国内製品価格に十分に転嫁されていな いし、賃金上昇にも結びついていないのである。企業はデフレに対応している。第2は、CPIとGDPデフレーターの変動性の大小関係である。CPIは固定 バスケットを用い、GDPデフレーターは可変バスケットを用いている。つまり、買い手が価格変化に応じて購入する商品を変更することを、前者は無視し後者 は考慮に入れている。従って、インフレの下では、CPIの方がGDPデフレーターよりも、物価変動率は高くなる。これが世界の常識である。しかし、デフレ の下にある日本では、GDPデフレーターの方がCPIよりも大きく下がる。家計もきちんとデフレに対応しているのである。
    スウェーデンの中央銀行であるリクスバンクの副総裁となっているラース・スヴェンソン氏(元プリンストン大学教授)は、「デフレ下の金融政策運営は、イ ンフレ下での金融政策運営と逆様になる」と述べている。インフレの下ではインフレ・ファイターとしての信認を高めることが望ましいが、デフレの下ではその 信認を低下させることが望ましいのである。うまく信認を低下させられれば、円高も収まるかもしれない。デフレ下で採用すべき金融政策手段を決定する時に、 この逆様であることが「知的なチャレンジ」となると、彼は言う。同意する人も多いのではないだろうか。
    [地主敏樹 マクロ経済分析プロジェクト委員 神戸大学大学院]

    日本
    <基準年改定により2011年度成長率は1.0%ポイントを超える下方修正で-0.7%に>

    12月9日に発表されたGDP2次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+5.6%となり、1次速報値からは0.4%ポイントと小幅の下方修正にとどまった。
    今回は5年毎の基準年改定(2000年→2005年)が行われ、新たな産業連関表と国勢調査の結果が反映された。グラフは旧系列と新系列による実質GDP 成長率パターンの比較である。基準年改定の結果、2011年の3四半期(1-3月期、4-6月期、7-9月期)が旧系列から下方修正された。特に、1-3 月期は3.9%ポイント(-2.7%→-6.6%)大幅に下方修正された。このことは新系列による2011年の成長率予測は、旧系列による予測より 0.5%ポイントを超える下方修正が行われる可能性を示唆している。

    12月12日の(支出サイドモデルによる)予測では、7-9月期GDP2次速報値と一部の11月と多くの10月の データが更新されている。この結果、10-12月期の実質GDP成長率は、内需は小幅拡大するが、純輸出は大幅縮小するため前期比-0.4%、同年率 -1.8%と予測する。日本経済は7-9月期の高成長から一時的な踊り場へと局面を移すことになろう。一方、2012年1-3月期の実質GDP成長率は、 純輸出が小幅ながら引き続き縮小するものの内需が大幅拡大するため、前期比+0.5%、同年率+1.8%と予測する。この結果、2011暦年の実質GDP 成長率は-1.0%、2011年度は-0.7%となろう。前述したように、基準年改定により2011年の3四半期の成長率が下方修正されたため、2011 暦年の成長率予測は先月の予測(-0.2%)より0.8%ポイント、2011年度は先月の予測(+0.5%)から1.2%ポイントそれぞれ下方修正され た。
    10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.4%へと減速する。実質民間住宅は同+0.7%増加、実質民間企業設備は同 -2.1%減少する。実質政府最終消費支出は同+0.5%、実質公的固定資本形成は同+3.3%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期比 -0.4%)に対する寄与度は+0.2%ポイントと小幅にとどまる。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同-3.1%減少し、実質輸入は同+1.0%増加する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は-0.7%ポイントと景気を大きく押し下げる。

    [稲田義久 APIR研究統括・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]

    米国
    <欧州債務危機の中、景気回復が加速する米経済>

    グラフに見るように、景気は10月初めから回復をしており、12月9日の超短期予測では10-12月期の実質GDP成長率(前期比年率)は4%を超えるま でになっている。バーナンキFRB議長が10月の始めに、”the economy is close to ‘faltering”と言い、異常なゼロ金利を2013年半ばまで維持する金融政策をとっていることは皮肉である。12月13日のFOMCミーティング では政策金利が据え置かれた。連銀エコノミスト達が景気回復の加速化を認めたものの、欧州債務危機を米経済への大きなダウンサイドリスクと捉え、従来の異 常なゼロ金利政策を正当化した。確かに、欧州債務危機は米経済へのダウンサイドリスクには違いないが、FRB自体が過剰に反応しせっかくの金融政策の正常 化への機会を見逃すことはない。今の欧州債務危機は1994年のメキシコ通貨危機、1997年のアジア通貨危機に比べて、その米経済への影響は小さいとい うエコノミストもいる。
    米金融政策当局にとって大事なことは、欧州債務危機を非常に長期の問題と捉え、米景気へのダウンサイドリスクを過大に捉えず、現在の拡大している景気回復 の持続性を確保することである。すなわち、欧州経済の再構築が米経済にとって定常化した外的経済環境になるわけである。従って、FRBはいつまでも欧州債 務危機を米経済へのダウンサイドリスクと捉え、異常な低金利政策を正当化し、維持していくことはできない。12月13日のFOMC声明でFRBが欧州債務 危機によるダウンサイドリスクを認めながらも、景気拡大の持続性を維持する政策をとるような上手い市場とのコミュニケーションが期待される。4%の経済成 長が可能な中で、2013年半ばまでのゼロ金利政策は異常である。できるだけ早く、金融政策を正常に戻すことが景気変動に対応できる金融政策の自由度を増 すことであり、景気拡大の持続性に繋がる。
    確かに、EU首脳会議が財政規律強化策を打ち出したが、債務危機解決への実効性のある対策とはいえない今の段階で、FRBが大きく金融政策を変更すること には無理があるだろう。にもかかわらず、12月13日のFOMC声明において、何らかの金融政策正常化への変更が期待される。

    [ 熊坂有三 ITエコノミー]

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    金融政策研究会の報告書を取りまとめました。

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    金融政策研究会(主査 地主敏樹 神戸大学経済学部教授)では、約1年間にわたり合計10回の研究会・フォーラムを実施しました。
    長期間にわたりマイルドなデフレに悩む日本経済を浮揚させるための金融政策の可能性を日米欧の金融市場ならびに実態経済に照らし実証的に分析・検討し、報告書として取りまとめました。

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  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年9月)

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    インサイト » コメンタリー

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    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <米国財政政策が制約される中でQE3への高まる期待>

    米国発の経済ニュースが続いている。基本的には失業率が顕著に低下しない状態が続き、財政政策も金融政策も手詰まり感がある中、種々のニュースに市場が一喜一憂して、株価や為替レートが上下に変動しているのである。
    国債発行額の上限引き上げの問題が、しばらくは焦点となった。これは何度も実施されてきたルーチンに近い手続きなのだが、共和党が下院多数派を握ってお り、オバマ政権を追い詰めてみせようとしたために大問題となった。「小さな政府」志向が極度に強い茶会グループが無視できない勢力となり、共和党中枢部が 容易に妥協できなかったという事情もあった。オバマ政権は譲歩するしかなく、中期的に財政支出を大幅削減することを約束した。
    この騒動から、クリントン政権が第一期の中間選挙に負けた後、ギングリッチの率いた下院共和党と鋭く対立した時期が想起させられた。雇用なき回復が続い ていたし、クリントンは大統領就任直後の諸立法に失敗を重ねていた。ギングリッチは「アメリカとの契約」を提示して、議会主導で政策を推進しようとしたの である。この対立の中、予算が不足し連邦政府の部分閉鎖が実施された。ビザ審査や統計作成などの担当者は出勤を止められた。しかし、共和党の強硬路線はむ しろ国民の批判を招き、クリントンは再選されることとなった。オバマはこの再現を狙っているだろう。
    財政政策が制約されたので、金融政策に注目が集まった。昨年秋に始まった量的緩和政策(QE2)が予定通りに終了していたので、その次(QE3)が期待 されたのである。QE2を予告したのと同じ、夏のジャクソンホール会議でのバーナンキFRB議長講演に、注目は集まった。QE3の予告はなかったが、まだ 緩和策はあることを訴え、9月の金融政策決定会合(FOMC)を2日間に延長して、政策を検討すると約束した。金融市場はこれでも好感して反応した。
    ただし、ゼロ金利に直面した後の金融政策の有効性については、疑問が投げかけられている。日本では、ゼロ金利継続のコミットメントを行い量的緩和も実施 したが、長期金利は低下し金融システム安定に貢献したものの、マクロ経済への効果は限定的だという見方が大勢なのである。株価を高めて、マクロ経済にもプ ラス効果があったという少数意見もある。
    米国のQE2に対しても評価は割れている。ジャクソンホール講演から政策実施までの間、株価は上昇しドルは減価した。顕著な緩和効果であった。しかし、政 策実施後に大した効果はみられていない。ましてや、失業率はほとんど低下しなかった。そこで、FRBはゼロ金利を来年半ばまで継続するというコミットメン トを8月のFOMCで導入することとした。
    そして、市場は次(QE3)を求めているのである。オバマも、きつい制約の下だが、雇用対策を打ち出した。財政政策にそれなりの即効性は期待されるが、バ ランスシート調整が続く中では拡張策の継続が必要となるので、赤字問題が再燃する可能性が高い。金融緩和については、昨年のようなデフレ懸念は沈静化して おり、むしろインフレ懸念が高まりつつあるので、QE3導入にはためらいがある。しかし、中期的なインフレ期待が2%近い水準に維持されている間に思い きった緩和策を実施することが、米国経済の停滞からの脱出に有効なのではないだろうか。日本とは異なり人口の伸びもプラスであって、マクロ経済の自然成長 にも期待できるので、量的緩和の有効性も異なるであろう。

    [地主敏樹 マクロ経済分析プロジェクト委員 神戸大学大学院]

    日本
    <7-9月期5%を上回るプラス成長だが、先行き世界経済の減速がリスク要因>

    9月9日発表のGDP2次速報値(QE)によれば、4-6月期の実質GDP成長率は前期比-0.5%、同年率-2.1%となり、1次速報値(前期比 -0.3%、同年率-1.3%)から0.8%ポイントの下方修正となった。修正幅は想定の範囲内であり、現時点で先行きの見通しに大きな変化はない。
    実質GDP成長率下方修正の主要因は、民間企業設備、民間企業在庫品増減である。民間企業設備は1次速報値の前期比+0.2%から同-0.9%へと下方修 正された。2次速報値推計の基礎データである法人企業統計調査の低調な結果を反映したものである(全産業ベースの企業設備投資は前期比-6.6%と3期連 続のマイナス)。また法人企業統計調査の結果により民間企業在庫品増減も、1次速報値の前期比+0.3%ポイントの寄与度から2次速報値では同+0.1% ポイントに下方修正された。両者で実質GDP成長率の下方修正幅(前期比で-0.2%ポイント)のうち0.3%ポイントを説明している。
    今週の予測では、7月の多くの月次データが更新され、また4-6月期GDP2次速報値が追加された。この結果、支出サイドモデルは、7-9月期の実質 GDP成長率を、内需は引き続き拡大し、純輸出も増加に転じるため前期比+1.5%、同年率+6.0%と予測する。一方、10-12月期の実質GDP成長 率を、内需は引き続き拡大するが純輸出は横ばいとなるため、前期比+0.7%、同年率+2.9%と予測する。年後半堅調な回復に転じるが前半のマイナス成 長の結果、2011暦年の実質GDP成長率は-0.3%となろう。ただ先行き世界経済の減速が気になるところである。
    7-9月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.7%となる。実質民間住宅は同+7.0%、実質民間企業設備は同+1.6%増加する。 実質政府最終消費支出は同+0.7%、実質公的固定資本形成は同+6.2%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期比+1.5%)に対する寄 与度は+1.1%ポイントとなる。
    財貨・サービスの実質輸出は同+5.7%増加し、実質輸入は同+4.8%増加する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は+0.4%ポイントとなる。
    主成分分析モデルは、7-9月期の実質GDP成長率を前期比年率+6.4%と予測している。また10-12月期を同-0.4%とみている。この結果、支出 サイド・主成分分析モデルの実質GDP平均成長率(前期比年率)は、7-9月期が+6.2%、10-12月期が+1.2%となる。図からわかるように両モ デルによる7-9月期の予測は収束しており高い成長率が期待できるが、先行きは減速のリスクが高まっている。

    [[稲田義久 KISER所長・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    <長すぎる低金利政策の末に陥ったFRBの金融政策不足>

    9月8日のバーナンキFRB議長のミネアポリスでの講演、同夜のオバマ大統領の雇用創出プログラムにも市場は反応せず、景気回復への悲観的な見方を強めて いる。そのために、FRBは9月20-21日のFOMCミーティングにおいて何らかの景気刺激策を求められている。しかし、長期にわたって異常なゼロ金利 政策を続け、バランスシートを拡大してきたFRBにとって有効な景気回復策はあまりない。
    考えられるのは、第一にQE3、第二にオペレーションツイスト、第三に法定準備預金への金利の削減である。しかし、QE2が有効に働いていれば、QE3は 不必要なはずである。オペレーションツイストに関してはすでに、セントルイス連銀のジェームス・バラード総裁がその有効性を否定している。まして、金融政 策で金利スプレッドを操作すれば、通常金利スプレッドを通して送る経済・金融状況の市場へのメッセージを歪めることになる。また0.25%の法定準備預金 への金利を下げたところで、どの程度金融機関が貸し出しを増やし、景気が刺激されるかも不確実である。すなわち、すでに長期金利は十分に低い。フィラデル フィア連銀のチャールズ・プロッサー総裁が「雇用創出にもはや金融政策は多くをできない」と言っているのは正しいだろう。FRBは2009年7-9月期以 降の景気回復の中で、出口戦略を一度もとらずにバランスシートを拡大してきた。その末に陥ったのはFRBの政策不足である。これは、Benjamin M. Friedman教授の“The Moral Consequences of Economic Growth”に例えれば、“The Moral Consequences of Monetary Policy”ともいえる。
    9月20-21日のFOMCミーティングで、FRBが単なるアナウンスメント効果のみだけの政策を発表し、それが実体経済を刺激するのに有効的でないことを市場が見抜けば、FRBは金融政策を実行するにあたって最も重要な市場からの信頼性を失うことになる。
    今週の超短期予測によれば、7月の輸出が前月比で3.6%と大幅に伸びたことから、需要サイドからの実質GDP成長率予測(2011年7-9月期)は 2.25%にまで大幅に上方修正された。8月の輸出入価格、生産者・消費者物価指数、小売販売を更新すれば、グラフにみる支出・所得サイドからのGDP ギャップが小さくなるだろう。両サイドからの実質GDP成長率が0.7%にまで回復し、少なくとも7?9月期のマイナス成長は避けられるであろう。しか し、超短期予測によれば、その他の実質アグリゲート指標(総需要、国内需要、最終需要)の伸び率は前期比年率0.0%?1.5%となっており、米経済回復 が脆弱なことは確かである。

    [ [熊坂有三 ITエコノミー]]

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    日本経済のマクロ分析

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2005年度

    ABSTRACT

    主査
    稲田 義久     甲南大学経済学部教授
    主査
    高林喜久生    関西学院大学経済学部教授
    委員
    地主 敏樹    神戸大学大学院経済学研究科教授
    (敬称略)

    本調査研究は、1976年、京都大学経済研究所の森口親司教授(当時)の主唱により、同研究所と関西経済研究センター(現関西社会経済研究所)との共同プ ロジェクトとして発足し、その後、1986年より、関西経済研究センター(現関西社会経済研究所)の単独プロジェクトとなった。理論と実態の融合をめざ し、学界の指導と協力を得て、在阪の大手会員企業・団体の若手スタッフ参加の下で「マクロ経済分析プロジェクト研究会」を組織している。
    本調査研究は、産学協同研究体制の典型として当研究所の研究活動・人材育成活動の核を成しており、「社会人のための大学院」を目指している。
    研究会活動の概要および研究成果の発表については以下の通り。

    ・特別研究
    会員企業、関連団体の若手スタッフ、当研究所員をメンバーとする「マクロ経済分析プロジェクト研究会」において、時宜に適した、関西経済の活性化に 資するテーマをマクロ経済の観点から取り上げる特別研究を、毎年実施している。その成果は、2月?3月頃に報告書として取り纏め、会員企業に提供するとと もに、広く企業・自治体・経済団体等を対象に発表会を実施している。

    ・日米中超短期予測フォーラム
    日米中の専門家が協力して各国経済の2四半期予測を月次ベースで行う。日米中3国間の経済相互関係にも留意した内容を盛り込んで、毎月中旬に研究所HPにて発表する。

    ・四半期経済予測(景気分析と予測)
    研究会において、予測作業に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同作業を行っている。時代のニーズに合わせ、2005年度より「超短期 予測モデル」を使用し、予測インターバルを四半期から月次ベースへと移行、またその「超短期経済予測」結果により四半期経済予測の足元をかため、より精度 の高い景気見通しの実践に取り組んでいる。 四半期経済予測は「景気分析と予測」として四半期毎(2月、5月、8月、11月)に記者発表を実施している。

    ・景気討論会
    年2回(夏および新年)、民間・官界から外部講師を招いてパネルディスカッション形式で開催している。稲田主査による「景気分析と予測」(上記参 照)を基調報告とし、日本経済および関西経済の見通し、金融市場の現況と行方、政策運営のあり方など、時宜に適したテーマで幅広い議論が展開される。

    ・関西エコノミックインサイト
    関西経済の現況を全国の動きと比較しながら分析し、その動向を探るとともに、適宜、重要な経済問題をトピックスとして解説する。コンパクトかつ、ポイントを突いたレポートを目指すもので、原則として四半期毎(2月、5月、8月、11月)に当研究所HPにて発表する。